漢方で対応する話題の疾病

ノロウィルス
 潜伏期間は24-48時間で、体力があり脱水を起こさなければ1-2日で自然治癒する。
 単なる胃腸カタルと思われることもある。吐き気が激しいので体力を消耗しやすい。

考え方

 病名や検査データに惑わされないこと。
 常に弁証に従って方薬をすること。 参考:ノロウィルスの消毒

ノロウィルスの場合、外邪による吐き下しであるので
泄瀉や下痢の弁証が役に立つ。
症状が激しければ霍乱の弁証をも参考に。

 西洋医学では、整腸剤と吐気止めを処方されることが多い。

漢方では

熱が主体
の場合と寒冷を持っている場合とに分ける
また、どちらでもない場合に
胃腸型感冒を参考にするとよい

熱が主体
 1.脾胃の湿熱
  湿熱の邪が脾胃の運化作用を阻害し、水穀の運化が十分に
できなくて下痢をする。
 2.大腸湿熱
  湿熱の邪が大腸に停滞し、熱邪が大腸を圧迫するために便が
出そうになるが、湿邪が運化を阻害しているので排便できなかったり
痙攣性の下痢となる。裏急後重を伴う。

 1.脾胃の湿熱
 症候
  ①腹満、腹痛があり下痢する。肛門に灼熱感があり、便はベトベトで
匂いが強い。
  ②吐気、体が重だるい。口臭、口粘、口乾、尿が濃い。
  ③黄膩苔、脈数。
 治法と方剤
  清熱利湿法
  茵陳五苓散:沢瀉5.0;茵陳蒿4.0;猪苓・白朮・茯苓各3.0;桂枝2.0
  猪苓湯:猪苓・茯苓・沢瀉・阿膠・滑石各3.0
  連朴飲葛根黄連黄芩湯
 2.大腸湿熱
 症候
  ①下腹が痛み、便意がありトイレに行っても下腹部が渋ってすっきり
排便できず肛門が下墜しそうになる。
  ②常に臭い少量の軟便や粘液を排泄し残便感がある。
 治法と方剤
  清熱止痢法
  黄芩湯:黄芩・大棗各3.0;芍薬・甘草各2.0
  白頭翁湯:白頭翁・黄柏・黄連・秦皮各3.0

寒冷
 
1.脾胃に寒冷が直中
 
症候
 ①腹満、腹痛があり下痢する。肛門に灼熱感はない。便はサラサラで
匂いが強くない。
  ②吐気、体が重だるい。悪寒発熱をともなうときもある。口乾、尿がサラサラ。
  ③白苔、脈微遅。
 代表方剤 
胃苓湯五積散

胃腸型感冒
 
1.脾虚に乗じて寒冷が入り込む
 
症候
 腹満、みぞおちのつかえ、吐き気、胸苦しい、身体が重だるい。悪寒発熱をともなうときもある。
 寒冷型と重なる点が多い。
 代表方剤 
藿香正気散五苓散
    もし、寒熱が共有する場合、みぞおちのつかえが強ければ
半夏瀉心湯、腹痛が強ければ
    
黄連湯にするとよい。

迷ったら、五積散合五苓散(邪道かな)
2009.1.10記載

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